「人類のピンチ!? 天体衝突を回避せよ」
地球への衝突が懸念される天体は1万6千で、毎日5個のペースで増え続けている。
恐竜を絶滅させたのも天体衝突だったという。
天体衝突、これはリアルな問題である。
直径が100メートルから250メートルクラスの天体が、東京に落ちたとすると、関東地方ぐらいが被害を受けるという。
先月(5月)、NASAをはじめとする各国を代表する研究機関の専門家たちが日本科学未来館に集まり、ある会議が開催された。
「地球防衛会議」だ。
ドイツ航空宇宙センター 研究者
「天体衝突は必ず起きます。実際に4年前、ロシアで起きています。小さな隕石でしたが、街に深刻な被害を与えました。」
欧州宇宙機関 研究者
「天体衝突は現実の脅威です。そうでなければ、ここには来ません。甚大な被害につながつので、前もって準備しておく必要があるのです。」
研究者たちは
・衝撃予測グループ
・市民への情報伝達を検討するグループ
・衝突の回避を検討するグループ
などに分かれて議論した。
衝突の回避を検討するグループでの議論の様子。
「核爆弾なら破壊できるのでは。」
「それはダメだ。破壊したら、破片が地球に落下する可能性がある。」
検討された方法は次の通り。
・人工物を小天体にぶつけることで破壊したり、軌道を変えたりする「衝突方式」
・緩やかに軌道を変えるスロープッシュ。「けん引方式」や、小天体に特殊な塗料を吹きかける方法
議論の結果、小天体の地球到達まで時間が限られている今回の条件では、破片のリスクは取ってでも衝突方式がベストとされた。
衝突方式が最終的な結論とされたが、これは、どの程度現実的な選択肢なのか?
吉川真氏 (JAXA宇宙科学研究所・准教授):今のところ、衝突方式が一番現実的なんですが、ただ条件があって、相手の小惑星の大きさが100メートルか、せいぜい数百メートル。要するに小さい。それから、もう1つは衝突までの時間が10年以上はあるという、そういう条件がありますね。その場合には、探査機、宇宙船を小惑星にぶつけることによって、軌道を微妙にそらすという方法が非常に有効になっています。
(ただ、小天体が大きくて、時間がないという場合には、この方式はどうなる?)
その場合には、この方式ですと、軌道がずれないんですね。その場合に、もっと大きなエネルギーが必要になってしまって。例えば、核エネルギーを使うとか、そういったことが検討はされています。
一方、けん引方式や塗料を塗るというユニークな方式もあったが、これはどの程度現実的な方法なのか?
吉川氏:けん引方式というのは、万有引力を使うんですね。そのためには、非常に大きな宇宙船を作って小惑星との間の引力を強くする必要があるんですが、それでも、50年、100年という時間がかかってしまいます。それから、もう1つ、オシリス・レックスが打ち上がったというビデオがありましたけれども、これは太陽の光が小惑星の軌道にどう影響するか、それを正確に調べようというのが目的でして、これも実は、時間がかかるんですね。だから、なかなか短時間で軌道をそらすには難しいと思います。
天体衝突に対する取組、
アメリカ:年間50億円もの予算をNASAなどに投じて、地球に接近する危険な小惑星の発見や監視に取り組んでいる。
ヨーロッパ:EUの支援を受け、大学や民間企業などが連携し、国の垣根を超えたネットワークが作られている。
日本:ヨーロッパなどと比べますと、予算が少ないのが現状。JAXAでは家庭用の望遠鏡を持っている一般の天文ファンを巻き込むことで、警戒すべき小天体を見つけようという試みに取り組んでいる。
番組を観て、天体衝突からの回避のため、核爆発、核エネルギーが必要とされている点に注目した。
人類がいかにそれを使いこなせるかということが問題なのである。