【月刊正論】高市総務相批判に異議あり! テレビに偏向放送の自由はない 八木秀次(麗澤大学教授)
2016.3.7 04:00
(主な内容)
高市大臣の発言
「放送法4条は単なる倫理規定ではなく、法規範性を持つ。行政が何度要請しても、全く改善しない放送局に何の対応もしないとは約束できない。将来にわたり、可能性が全くないとは言えない」(2月8日)
「放送局が全く公正な放送をせず、改善措置も行わないとき、法律に規定された罰則規定を一切適用しないとは担保できない」(2月9日)
放送法4条に繰り返し違反した場合、電波法76条は地上波テレビ局などに「三箇月以内の期間を定めて無線局の運用の停止を命じ、又は期間を定めて運用許容時間、周波数若しくは空中線電力を制限することができる」と規定しています。
「公衆によって直接受信されることを目的とする無線通信の送信」(電波法5条4項、放送法2条1号)と定義される「放送」の影響力の大きさを考慮したもので、最高裁判例(平成2年4月17日)では、テレビ放送が「直接かつ即時に全国の視聴者に到達して強い影響力を有していること」を認めている。革命に際して、革命勢力は真っ先に放送局を抑える。電波法5条が外国人や外国法人に放送免許を与えないのも、国民の心理が外国勢力に支配されないようにするための措置だ。
テレビ局の電波利用料は、NHKが12億1500万円、在京テレビキー局が各局3億1700万円または3億1800万円に過ぎない。しかも一度放送免許を与えられれば、事実上、未来永劫、放送事業ができる。新規に放送免許を得ることは難しく、既存の放送局が電波を独占できる状態が続く。
野党や一部の放送関係者は放送法4条を法規範ではなく、倫理規定と解釈しようとする。独占的に得た電波利用枠を使って、好き勝手な偏向放送を続けようとする。
「表現の自由」は偏向放送をする自由ではない。高市大臣は放送法の趣旨を説明しただけだ。
放送関係者は先ずは労組や左翼政党、外国勢力からの「不偏不党」「自律」を確立すべきではないか。これこそが放送法が求める表現の自由を確保し、健全な民主主義の発達に資することになる。